劇場:新国立劇場 小劇場
出演:角野卓造・高橋克実・大鷹明良・石井一孝・木場勝己・土居裕子・藤谷美紀・熊谷真実・キムラ緑子
作:井上ひさし 演出:栗山民也
お勧め度:★★★★★
昭和21年6月から7月にかけて、奇跡的に焼け残った街、東京・根津の紙芝居屋の親方、天声こと田中留吉に起こった滑稽で恐ろしい出来事。講釈師から活動弁士を経て紙芝居という「語り物」の日本の芸能の系譜をひく“しゃべる男”天声が、突然GHQ・国際検事局から「東京裁判に検察側の証人として出廷せよ」と命じられ、民間検事局勤務の川口ミドリから口述書をとられる。ふるえあがる天声。
岳父の紙芝居の絵描き・清風、都立第一高女を卒業したばかりの娘・道子、妹で元柳橋の芸妓・君子、君子の柳橋の同僚・妙子、失業中の映写技師・川本孝、紙芝居大好きな復員兵・関谷三郎、謎の闇ブローカー・成田耕吉ら、家中の者を総動員して「極東国際軍事法廷証人心得」を脚本がわりに予行演習をする。そのうちに熱が入り、家の中が天声や周囲の人間の〈国民としての戦争犯罪を裁く家庭法廷〉といった様相を呈しはじめる。
そして出廷。東条英機らの前で大過なく証言を済ませた天声は、東京裁判の持つ構造に重大なカラクリがあることを発見するのだが・・・・・・。
井上ひさしさんが逝去されたので。。。急遽追悼公演にもなったよう。
そのためか ただでさえ完売のチケットたち。当日券の列に並ぶ人たちの数がものすごかった。(私は事前に持ってたけど)
さて舞台。。。。
すごかったぁ。。。。
演者の皆さんが、井上先生を想って 井上先生に捧げると演じていらっしゃるのが分かるの。
作品自体素晴らしいんだけど、そんな効果も大きかったような?
紙芝居屋を通した東京裁判。
戦争や暮らしや 東京裁判自体の矛盾。
そして そんな困窮した中でも たくましく生きようとする普通の人々。
泣いて笑って 考えて。考えれば考えるほど奥深くて。
このシリーズって 井上先生の想いが3本観ることで改めて伝わってくる気がします。
天声一家から一歩離れている土居さん@ミドリ。
声に表情に癒されて 涙止まらなくなっちゃいました。
夢の3シリーズのうち 最終作の 夢の痂だけは初演を観ているので今回は見送ったのだけど。。。。チケット 取っておけば良かったかなぁ?と軽く後悔しています。
井上先生は遅筆で有名なので。。。この3シリーズの時も ぎりぎりまで台本できあがらなかったとか。
だからか分からないけど 映像で観た初演よりも こなれてこなれて よりわかりやすくて より伝わってくる。そんな気がしました。
最後のナンバー「劇場は夢を売るところ~」っていうの 井上先生に捧げていたように感じました。
そして「劇場は夢をみる、なつかしいゆりかご。その夢の真実を考えるところ。その夢の裂け目を考えるところ」これは井上先生から私たちへの宿題。
うん ちゃんと考えます。夢の真実と裂け目。

2010,06,04 Fri 11:08
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